ロシアレンズ HELIOS-44-2 2/58 (室内撮影編)

 オールドレンズでロシアレンズグルグルボケで有名なHELIOS-44-2 2/58ですが、前回の記事ではレンズについて色々と書きましたが、今回は、実際に室内で撮影した様子について書きたいと思います。独特の絞り設定操作についても書いています。

はじめに

 レンズを取り付けるカメラボディーはNikon D7100で、レンズ付きの無限遠が出るタイプとレンズ無しで無限遠が出ない近中距離用の二種類のM42マウントアダプターを使用して装着しました。撮影モードは絞り優先のAで、フォーカスエイドを利用しながらピントを合わせて撮影しました。とにかくグルグルボケを試してみたかったのです。

操作

 まずはレンズの操作方法なのですが、このレンズは電子接点の無いタイプなのは当然として、フォーカスリングの操作は普通なのですが、絞りの操作がちょっと特殊なのです。電子接点のないタイプでは、設定したい絞り値のところへ印を合わせるのですが、このレンズではその印がふたつあるのです。こう書くとちょっと訳がわからないかもしれませんが、実際にその写真を見てください。

HELIOS-44-2 絞り設定

HELIOS-44-2 絞り設定

 絞りのところには回すことが出来るふたつのリングが有り、ひとつはDレンズなどと同じようにカチカチと絞り値を選べるリングで、もうひとつは無段階に動くリングです。最初、この無段階に動くリングで絞り値を決めるのだと思ったのですが、あまりにもゆるゆるで固定出来ないので、不良品だと思いました。

 色々調べた結果、これが中々よく出来た仕組みで、今の自動絞りを手動で実現するための機構だったのです。自動絞りは、ファインダーを覗いているときやピントを合わせるときに絞りを開放して明るさを確保し、シャッターを切るときに自動的に設定した絞り値にするというものです。この機構を手動で行うのが、あのゆるゆるのリングなのです。

 実際の使い方は、まず、手前のリングをカチカチと回して、設定したい絞り値のところへフォーカスリングの設定と同じ赤線のところへ合わせます。上の写真では絞り値がf/4です。次に奥側のリングの赤点を絞り値と同じ赤線のところへ合わせます。これで絞りが開放の状態なので、フォーカスリングを回してピントを合わせます。ピント合わせが終わったら、今度は奥側のリングを2のところまで回します。要するに一番端まで回します。これで設定した絞り値の状態になるので、シャッターを押します。こうすることにより、目盛をイチイチ見なくても、絞り開放から設定した絞り値まで一気に操作出来るのです。下図は一番端まで回し、設定した絞り値(ここではf/4)になっている状態です。赤線と赤点がポイントです。

HELIOS-44-2 絞り設定

HELIOS-44-2 絞り設定

 奥側のゆるゆるのリングは、設定した絞り値以上には回らないようになっていて、一度絞り値を目盛に合わせておけば、あとは端から端へ回すだけで前述のような操作が出来るようになっています。なので、f/2に設定すると、奥側のゆるゆるのリングは一切回らないのです。

 こんな機構になっているとはつゆ知らず、絞り値を手前のリングで合わせ、奥側のリングで赤点を絞り値のところへ合わせて撮影していました。要するに、常に絞り開放で撮影していた訳です。撮影して家に帰り、パソコンで写真を確認してみると、どれも同じような写真しか撮れていなかったため、おかしいと思い、いろいろレンズを弄っていて気付きました。もっと早く気付くべきだったんです ハァ━(-д-;)━ァ…

実写

 前置きが長くなりましたが、まずはM42マウントアダプターのレンズの有無での写りの違いです。撮影はカメラを三脚に固定し、ふたつのマウントアダプターを取り替えて撮影しました。写りじゃなくて写る範囲を見てください。

M42マウントアダプター レンズ有り

M42マウントアダプター レンズ有り

M42マウントアダプター レンズ無し

M42マウントアダプター レンズ無し

 レンズ有りのマウントアダプターを使用すると、絞り一段分暗くなり、焦点距離が1.2倍になるため、写る範囲が少し狭くなるのです。

次に、実際に室内でビー玉に照明を当て、ボケを作って撮影したときの様子です。以前書いたボケフィルターの要領で、ボケの大きさを調整しながら撮ってみました。

HELIOS-44-2 バブルボケ

HELIOS-44-2 バブルボケ

 見ての通り、あまりグルグルになりませんでした。隅の方を見ると、一応、ボケの形が楕円になっていて、グルグルになりかけているのがわかると思います。このボケはバブルボケとも呼ばれています。

 次に、絞りをもう少し絞って撮影したものです。やはりボケの形が八角形になります。

HELIOS-44-2 ボケ 八角形

HELIOS-44-2 ボケが八角形

 次にボケフィルターを使って撮影してみました。このレンズはフィルター径が49mmなので、レンズの前にボケフィルターを手で押し当てて撮影しました。

 まずは星ボケです。一枚目は小さめの星ボケに、二枚目はフォーカス位置を手前にして星ボケを大きくしたものです。なんかドラゴンボールみたいです!w

HELIOS-44-2 星ボケ 小さい

HELIOS-44-2 小さい星ボケ

HELIOS-44-2 星ボケ 大きい

HELIOS-44-2 大きい星ボケ

 次に魚ボケです。こちらは魚群リーチみたいです!w

HELIOS-44-2 魚ボケ

HELIOS-44-2 魚ボケ

まとめ

 このレンズは操作方法が独特で、最初は気付かず失敗しましたが、慣れてしまえば中々面白いレンズです。肝心のグルグルボケですが、APS-C機だからかうまくグルグルになりませんでした。やはりグルグルにとって一番美味しいレンズの外側が写らないのが大きいのだと思います。APS-C機だとレンズの真ん中付近を切り取ってる訳ですからね。焦点距離が1.2倍になるレンズ有りのマウントアダプターを使うと、さらに切り取られる訳ですから。

 電子接点のないレンズ全般なのですが、情報がファイルに記録されないのは少し残念です。絞りを変えて撮影しても、後で見たときいくつに設定したかわからないのです。マウントアダプターを変えても記録されないため、どのマウントアダプターで撮影したものかもわからないという・・・。撮影時にホワイトボードでも持って行って、設定を変える度にそのホワイトボードに設定を書き込み、それを撮影するとわかりやすいんでしょうけどね。ちょっと手間なのでやろうとは思わないですが・・・。

 室内ではあまり良い結果が出なかったため、外へ良い条件を求めに行ってみました。その様子は次回書きたいと思います。実はこれも色々失敗したんですが・・・。

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする